生涯をバラの研究に捧げ、日本のバラの父と慕われたバラの育種家である故鈴木省三氏の遺したオールドローズのコレクションは、世界でも有数のものでした。彼のコレクションを継承し、次代に伝えなければという思いもあって、何人かの有志とともに、前原会長はコレクションの一部を譲り受け、ローズガーデン・アルバを開園しました。
1995年(平成7年) 佐倉市下志津にローズガーデン・アルバを開園
当時の原種(野バラ)・オールドローズは日本ではたいへん珍しい存在でした。花の可憐さ、優しさ、姿の優美さ、香りの良さが評判となり、小さなバラ園でしたがたちまち全国からバラ愛好家の皆さんが訪れるバラ園になりました。原種・オールドローズの収集が進み、収集したバラをすべて植栽するには、ローズガーデン・アルバでは手狭になってきていました。そこで、これらの貴重なバラを次代に継承するために、新たな拠点を探すことになりました。
2003年(平成15年)4月 アルバのすべてのバラを佐倉市に寄贈
佐倉草ぶえの丘(佐倉市の施設)内にバラ園を設置することが決定
2004年(平成16年) ローズガーデン・アルバのすべてのバラを佐倉市に寄贈
前原会長は、貴重な原種・オールドローズを継承する拠点として、いくつかの候補地の中から、佐倉市が文化的な素養が高く、次代に継承するための拠点として最適との判断のもと、ローズガーデン・アルバのすべてのバラを佐倉市に寄贈しました。
2005年(平成17年)4月 佐倉草ぶえの丘バラ園が開園
このことにより、貴重な遺伝資源としての原種・オールドローズが、佐倉草ぶえの丘にしっかりと根づき、次代に継承するための拠点を作ることができました。近年、生物の種の滅亡が問題になっており、生物多様性の重要性が叫ばれています。国連の決議に基づいて、世界バラ会連合(WFRS)では、加盟41カ国が協力して貴重品種の保全に取り組んでいます。日本においても貴重品種選考委員会が設置され、51品種の貴重品種が選定されました。現在、佐倉草ぶえの丘バラ園には、このうち実に50品種が栽培・保存されています。
前原会長は、バラの原種を含むオールドローズの収集、保存、研究を行っている「NPOバラ文化研究所」の理事長を務めています。また、現在、佐倉草ぶえの丘バラ園においても、バラに関する様々な活動を行っており、日本のみならず、世界でも著名なバラの研究家、育種家の一人でもあります。
2014年(平成26年) アジアで初めての「殿堂入りバラ園」の表彰を受ける
草ぶえの丘バラ園は、2014年2月1日にアメリカのサンマリノの教育機関ハンチントン図書館、美術館および植物園(The Huntington Library, Art Collections,and Botanical Gardens)にある、グレート ローザリアンズ オブ ザ ワールド プログラム(The Great Rosarians of the World Program 略称:GROW)から、称賛すべきバラ園として、アジアで初めて「殿堂入りバラ園(Rose Garden Hall of Fame)」の表彰を受け、このプレートを授与されました。
草ぶえの丘バラ園は、バラの原種やオールドローズの収集・保存によるバラ文化の啓発活動や、ボランティアによる献身的な施設の管理活動が評価されました。
2015年(平成27年) 世界バラ連合「優秀庭園賞」を受賞する
※「殿堂入りバラ園」「優秀庭園賞」のダブル受賞はアジアで唯一となる
草ぶえの丘バラ園は、2015年5月27日から6月1日にフランス・リヨンで開催された世界バラ連合会(第17回)世界大会で「世界バラ会連合 優秀庭園賞(WFRS Award of Garden Excellence)」を受賞し、このプレートを授与されました。
この賞は、世界39か国が加盟する世界バラ連合(World Federation of Rose Societies 略称:WFRS)が、3年に1度開催する世界大会において、世界でも特に優れたバラ園を表彰するものです。
優秀庭園賞は、表彰委員会での審査を経て、各国の代表者による連合評議委員会で決定されます。草ぶえの丘バラ園は、バラ園の美しさとその魅力、メンテナンスの質の高さなどすべての項目で満点の評価を受けました。